近ごろ都に流行るもの

「幼児からの科学実験教室」 好奇心伸ばして目指せノーベル賞 (1/2ページ)

 不思議なことが大好きな子供たちが「科学実験」に夢中になっている。水、風、光、静電気など身近な自然界の現象をテーマに、「なに、これ?」という素朴な疑問と答えを引き出す。論理的思考を高めてほしいという親の期待も大きいそうだ。なんでも動画で見れば分かったつもりになれる現代だからこそ、自分で確かめる実験の手間には意味があるようで…。実験教室を行っている保育園を訪ねると、小さな手を動かして熱中する姿に感心。ここから「未来の大科学者」が出るかも!? (重松明子)

 「この布、フェルトっていいます。ぬいぐるみなんかに使われています。この布に水を垂らしたら、どうなる?」「濡れちゃうー」。斉藤純一講師(46)の呼びかけに、大きな声で答える園児たち。「さあどうなるでしょう」と促され、小さな手でスポイトをつまむと…「わ! 丸くなってる」「膨らんでる」。初めて見る水の表面張力の粒に、幼い顔がくぎ付けだ。

 東京都港区の「にじのいるか保育園 芝浦」で、4~5歳児19人が、「水」がテーマの実験に取り組んだ。絵の具と洗剤を使って水面模様の変化を観察する「マーブリング」など3つの実験から、水の分子結合と界面活性剤の働きを学ぶ。60分間、最後まで誰ひとり勝手に席を立つこともなく、集中する姿に驚いた。

 「幼児の集中力は5分が限界といわれますが、楽しく興味が持てればここまでもつ。実験のあった日は、迎えに来た親に『面白かった』『こんなことやったよ』と伝える姿が見られます」と主任保育士の飯塚千夏さん(39)。

 斉藤講師も「幼児には目に見えない物を理解する想像力がある」と指摘。「実験中は思ったことをどんどん発言させて、間違っていても絶対に否定しない。科学って『人と違うこと』を考える学び。そこから、ノーベル賞のような高みに到達する科学者が出てくるんですから」

 同園では5年前から「サイエンス倶楽部」(本部・中野区)の出張授業を2カ月に1回ペースで依頼している。仁井友紀乃園長(41)は「子供の可能性を広げたいという教育意識の高い保護者が多い地域で、園の独自性を打ち出す狙いもありました」と話す。

 実験によって、子供たちも植物や太陽など自然界への興味を強めているようだ。「お散歩の時間にも、いろいろなものに興味を示して観察している。科学図鑑を見て『これやりたい』と次の実験テーマを提案する子もいる。好奇心が行動に直結する幼児期の興味や意欲を、すくすくと伸ばしてあげたい」と仁井園長。

      

 サイエンス倶楽部は昭和63年、東京・高円寺の医療系専門学校が、実験室の空き時間を活用して始まった子供向け実験教室の草分けだ。現在、首都圏を中心に16教室あり、4~18歳の約4000人が通っている。

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