近ごろ都に流行るもの

「幼児からの科学実験教室」 好奇心伸ばして目指せノーベル賞 (2/2ページ)

 統括責任者の広永雅史専務(55)は、「2000年代のいわゆる『ゆとり教育』への不安、特に理科に対する子供の興味・関心が薄れ学力が低下する『理科離れ』に危機感を持った保護者に共感され、規模が大きくなっていきました」と説明する。

 仮説を立て、目的や方法を決め、実験に取り組み、結果を考察する…。一連の思考プロセスを小さいうちから身につけて、文系・芸術系などオールジャンルに通用する論理的思考や創造力を育てることが一番の目的だ。

 とはいえ、卒業生の大半は理系学部に進学。現在も約100人のOB・OG学生がアルバイトの助手や講師として子供たちを教えている。

 「東大や東工大はじめ、目的意識を持って進路を選んでいる。実験教室はピアノや水泳のような『お稽古事』の位置づけで、塾ではありませんが、理科の本質への理解が結果的に受験にも役立っているんでしょうね」と広永さん。

 3年前から自然科学に加えてプログラミング教育も始めた。「今の子たちが社会人になるころには、共通言語として必要な能力になります」

      

 9日にノーベル化学賞を受賞した吉野彰さん(71)は子供時代に、便所掃除用の塩酸にくぎをほうり込んで水素が発生する様子を観察していたという(10日付産経新聞記事より)。驚きや気付きは案外、身近な所に“生”で潜んでいる。今の子供たちに伝えたい、科学の豊かさを教えてくれるエピソードだ。

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