リーマン破綻、債権・債務3者相殺は無効 最高裁が初判断 手続き開始後認めず
破綻したリーマン・ブラザーズ証券の民事再生手続き開始後、取引先同士がリーマンとの債権・債務を相殺できるかが争われた訴訟で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は8日、「民事再生申請後に相殺が許されるのは申請した会社との2者間に限られ、合意があっても3者間では相殺できない」と初判断。相殺を認めた2審判決を破棄し、相殺を無効とする判決を言い渡した。
リーマンが販売したデリバティブ取引で債務を負った野村信託銀行が、「契約終了日が指定された場合、当事者で相殺できる」との契約条項を理由に、同グループの野村証券がリーマンに持つ債権と相殺できると主張。リーマンは「相殺は民事再生法違反」として野村信託に債務支払いを求め提訴した。
同小法廷は「民事再生法の基本原則は債権者の平等。今回の相殺は基本原則に反する」と指摘した。一方、千葉勝美裁判官は現行法では今回の相殺はできないとしつつ「グループ企業内のリスク管理として考えられる手法。立法で相殺を認めるかは、検討課題だ」とする補足意見を述べた。
平成20年9月、リーマンが東京地裁で民事再生手続きを開始し、デリバティブ契約も終了。野村信託は約4億3千万円の債務をリーマンに抱えたが、野村証券は同じ取引でリーマンに17億円余りの債権があった。1審東京地裁、2審東京高裁はいずれも野村信託の主張を認め相殺を有効と判断した。
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