この現象自体は古くから知られており、ベルギーの生物学者が1963年、ギリシャ語の「自分」(オート)と「食べる」(ファジー)を組み合わせて命名。だが、詳細なメカニズムは長い間、謎のままだった。
解き明かしたのは2人の日本人だ。最初に道を開いたのは東京工業大の大隅良典特任教授(68)。東大助教授だった88年、酵母のオートファジーを光学顕微鏡で観察することに初めて成功した。
酵母は通常、液胞内にある酵素でオートファゴソームを分解する。大隅氏は、この分解酵素を作る機能を突然変異で失った酵母を飢餓状態に置いて観察。液胞内で分解されず、顆粒(かりゅう)状にたまっていくオートファゴソームの姿をとらえた。
翌年には電子顕微鏡を使い、酵母の細胞内に出現した膜構造がタンパク質を包み、液胞に運ばれる様子も確認。さらに93年、オートファジー機能に関わる14個の「ATG遺伝子」を発見して研究の基礎を築いた。