だが復興事業は進まない。最近あった災害公営住宅2件の入札はいずれも不調だった。1件はその後、入札額を見直し契約が成立したが、もう1件は近く再入札を実施、完成が計画より遅れる可能性が出てきた。
背景にあるのは建築資材と人件費の高騰。関係者が懸念するのは20年の東京五輪の影響だ。競技場など関連施設の準備が本格化すれば、資材も人材も東京に集中し、復興が置き去りにされる可能性がある。
大成建設の山内隆司社長は「復興も五輪もどちらも大事」と強調する。だが市の担当者は「五輪の準備が本格化する前に復興にめどをつけたいが間にあうか」と不安を隠さない。
実現の見通しが立たない事業も多い。防潮堤の建設をめぐっては着工を急ぐ行政側に対し、一部住民が「(堤が)高すぎると景観を損ない、観光地としての魅力を失う」と反発。一方で「高台への避難道路を拡張する方が先」といった意見も出て調整は難航している。