≪楽天スタジアム部長、川田喜則さん≫
あす12月4日で東日本大震災から1000日となる。この間、被災者たちは苦難に直面しながらも、普段表に出ない「底力」を発揮して復興に尽くしてきた。その1人であるプロ野球楽天のスタジアム部長、川田喜則(よしのり)さん(39)の1000日を追った。
その瞬間は、日本シリーズ最終戦が白熱する日本製紙クリネックススタジアム宮城(Kスタ宮城、仙台市)ではなく、隣接する仙台市陸上競技場の一室にいた。本拠地の責任者である、楽天のスタジアム部長でありながら、グラウンドの歓喜の輪に加わることはなかった。
巨人と3勝3敗で迎えた決戦は11月3日。くしくも東日本大震災が起きたのは「3・11」。因縁さえ感じるなかで、「あの日から1000日」を1カ月後に控えての悲願達成だった。選手や球団を支えてきた裏方として苦難続きだった歩みに思いをはせ、涙があふれた。
2008年、東京にある楽天のグループ会社から、経理担当の責任者として仙台市に赴任し、11年の東日本大震災に遭遇する。激しい揺れでKスタ宮城は柱や床に無数のひびが入り、客席の一部は陥没した。