「当時は誰もが自分の生活が最優先。東京電力福島第1原発事故の放射能への不安もあり、野球どころではなかった」
だが、津波で自宅を流されても年間チケットを購入したファンや、避難所生活を強いられている被災者からの「楽しみは楽天の試合だけ」といった声が、球場の復旧工事を後押しした。
「職員全員が何とかして被災地に元気を届けないといけないと思っていた」。工期通り工事は終了。11年4月29日に本拠地開幕戦が行われ、被災地に球音が戻った。
シーズン中に座席増設
震災1年目の楽天は5位に低迷した。シーズンオフにスタジアム部長への異動を命じられる。「経理畑の人間に球場管理や試合運営ができるのか」。本格的な球場の復旧工事も佳境を迎えており、不安だらけだった。震災2年目も成績は4位。選手や職員たちの「優勝して被災地を勇気づけたい」という思いは空回りした。
そんな中で迎えたのが震災3年目の今シーズン。前半戦を首位で折り返し、後半戦に入ると観客動員数が飛躍的に伸びた。満席となる回数も増加した。