東京電力福島第1原発事故との闘いは、震災から1000日を経てもなお続いている。政府は避難住民の早期帰還を目指し、現実路線へかじを切ったが、除染完了は見通せない。節目の日を迎え、福島では先の見えない不安に包まれたままだ。
東京電力福島第1原発の周辺に位置する福島県の自治体では、事故後から続く立ち入り制限が解除される見通しも立たないまま3度目の冬を迎えた。避難を余儀なくされた住民の間には「家に帰れないのでは…」と、あきらめムードも漂い始めている。
福島の浜通りを南北に貫く国道6号は、原発事故の収束作業に欠かせない幹線道路。除染や原発に向かう作業員らを乗せたバスやワゴン、トラックなどが行き交う。一時帰宅する住民の通行も増えた。
しかし、沿道には異様な風景が広がる。浪江町と大熊町では国道に面した家と商店の入り口すべてにバリケードが設置されていた。高線量地域への安易な立ち入りや空き巣被害などを防ぐのが目的だ。国道から住宅街へ入る道路にもゲートがあった。