「何とかして、できるだけ早く座席を増やせ」
8月に入り、球団社長から突如、命じられた。シーズン中の座席増設は試合開催で時間的制約があるため最低でも4カ月は必要とされ、今に思えば「むちゃくちゃな指令」だった。
全国の業者に片っ端から電話をかけ、1社だけが応諾。8月13日に着工し、お盆休み返上で、試合終了後の深夜も工事を続け、わずか3週間で3塁側に約1000席を完成させた。外野席にも10日間で約1200席の増設を実現させた。
PV開催に奔走
9月26日、球団創設9年目で念願のリーグ初優勝。だが日本シリーズでも思わぬ困難に直面する。Kスタ宮城で迎えた11月2日の第6戦。球場周辺の各所にテレビモニターを設置してパブリックビューイング(PV)を開催していたが、試合途中、人が集まりすぎて事故の危険性があるとして県警が近くの公園を封鎖する事態になった。
試合終了後、県警から翌日の第7戦のPV禁止も要請された。だが、「感動を一緒に味わいたくて、これだけの人が来てくれる。何とかできないか」と、思い立ったのが隣接する陸上競技場だった。