【シリーズ エネルギー政策を問う】今やるべきことは電力需給の安定化 (2/6ページ)

2014.2.27 05:00

東嶋和子氏

東嶋和子氏【拡大】

 --女川原発が安全に停止した要因は何だったのですか

 「女川原発は三陸海岸の南端にある牡鹿半島の中ほどに立地し、東日本大震災の震源地からの距離は約123キロと福島第1より近く、当日の地震加速度(地震の揺れの大きさ)は福島第1を上回る過去最大の数値(567.5ガル)を記録、最大津波高さは福島第1と同じ約13メートルでした。それでも震災発生から約10時間後に全3基が冷温停止にいたったのには、理由があります。それは3点あり、1つ目は津波到達後も電源が確保されていたことです。外部電源5回線のうちの1回線と、8台の非常用ディーゼル発電機のうち6台が使えました。2つ目は敷地の高さです。福島第1の敷地高約10メートルに対し女川は約14.8メートルで、869年の貞観津波にまでさかのぼって検討して決めたといいます。3つ目は現場力で、一言で言いますと、女川では日頃の訓練に裏付けられた現場主義が貫かれていたということです。女川は“奇跡”だという人がいますが、私は現場を見て備えがあったからこそ、安全に停止したと思っています」

 --失敗と成功の両方を知る立場で、原発の安全性とリスクについてはどう考えますか

 「どんなものでも100%の安全はないわけで、どちらが『より安全か』『より危険を減らせるか』を考えるのが現実的です。他の選択肢に比べてリスクはどうか、メリットは何があるのか、やらないときのデメリット、ダメージは何か。これらを丁寧に、冷静に比較することが大事だと思います」

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