東嶋和子氏【拡大】
--使用済み核燃料などの廃棄物処分をリスクとする人もいます
「原発を『トイレなきマンション』という人がいますが、トイレはつくればいいのです。廃棄物処分については国際的な共同研究が進んでいて、科学的見地からは現在の技術でほぼ安全に地層処分できるということで確立していると思います。ただ、地層処分施設をどこにつくるかという社会的合意をどうやって形成するかという問題です。合意形成の問題であるのに、あたかも科学技術の問題であるかのようにいわれています。合意形成は政治の仕事であり、より積極的に取り組んでいくべきだと思います。すでにフィンランド、スウェーデン、フランス、スイスでは最終処分地が決まりつつあります。ところが日本では、地震国だからできないという人がいる。私はフィンランド、スウェーデン、フランス、スイス、アメリカに取材に行きましたが、おおむね海外ではまず科学的に適地を見つけます。その後は地質学や土木工学、地質水文学、地球物理学などいろんな学者が専門的な知見を持ちよって進める透明性の高いプロジェクトになっており、実際の地質などをその都度確かめながら住民の合意を得て、段階的に進めていきます。同じように日本にも適地はあり、地層処分は必ずできるはずです。原子力規制委員会は原発の下に活断層があるかないかを問題にしていますが、不毛な議論に思えます。活断層が近くにあったとしても、それが工学的にどういう影響があり、それから逃れるにはどうすべきかを議論すべきではないでしょうか」