東嶋和子氏【拡大】
■リスク回避に原発再稼働を
--原子力をやらないリスク、デメリットは何ですか
「今はLNG(液化天然ガス)、石炭などの化石燃料による火力発電でしのいでいますが、その結果、日本はCO2、燃料輸入価格、安全保障、安定供給の4大リスクを抱えることになっています。日本のCO2排出量は原発を止めているため大幅に増加しており、電力業界の排出量は90年比6.3%も増えています。原発を代替するための火力発電燃料の追加負担は、年間3兆6000億円といわれています。このお金が国内で使われていれば、どれだけ日本経済にプラスになるかと思います。それと安全保障の問題。ベストセラーになっている出光興産創業者の出光佐三氏をモデルにした小説『海賊と呼ばれた男』に『日本は石油のために戦争を始め、石油のために敗れた』『石油の一滴は血の一滴』というフレーズが何回も出てきますが、今はこうしたことがすっかり忘れられてしまったんですね。目の前に起きた原発事故のリスクにだけ目を向け、今は顕在化していないリスクには目をつぶっている。準国産エネルギーである原子力を入れれば日本のエネルギー自給率は18%でしたが、原発が稼働していない今はわずか4%。エネルギーの96%を輸入に頼っているということ自体が大きなリスクです。4大リスクから逃れるには、安全性の確認された原発を早期に再稼働させるべきです」