理研の改革委員会は連休明けにも、再発防止策などの提言をまとめる予定だったが、石井氏の辞任でずれ込みは避けられない。小保方氏の問題だけでなく、理研全体の研究倫理や組織のガバナンス(統治)が問われるのは必至で、信用回復は容易ではなさそうだ。
「不正が最も多い種類の画像」
岡田清孝・自然科学研究機構理事(植物分子遺伝学)の話「疑義が指摘された遺伝子解析の電気泳動写真は、論文不正問題が最も多い種類の画像だ。白黒写真で表示するため、加工の痕跡が分かりにくいことも背景にあるだろう。科学的にもデータとしての質が不十分な場合がある。今後の科学論文では、別の手法も使って深く解析するようになるのではないか」
「研究倫理の水準、現在と違う」
市川家国・信州大特任教授(倫理学)の話「石井俊輔氏らの論文が発表された平成20年の研究倫理の水準は現在とは違い、過去にさかのぼり批判を強めるべきではない。石井氏は今回のような事態も覚悟した上で委員長を引き受けたのかもしれない。研究者不信がこれ以上強まらないよう、研究者は実験などの技術面のルールを学ぶべきだ。新委員長は弁護士だが研究現場への理解を望みたい」