翻訳家、村岡花子の半生を描くNHK連続テレビ小説「花子とアン」の放送開始から1カ月。序盤の視聴率は好調で、関連本が相次いで出版されるなど、村岡が初邦訳したカナダの女性作家、L・M・モンゴメリの「赤毛のアン」の世界にも改めて注目が集まっている。時代を超えて愛されてきた「アン」の魅力はどこにあるのだろうか。(三品貴志)
カナダで1908年誕生
モンゴメリが1908年に発表した「赤毛のアン」は、カナダのプリンス・エドワード島を舞台に、孤児のアンが自然や周囲の人々との交流をへて成長していく物語。第2作「アンの青春」をはじめ一連の作品群は、「アン・シリーズ」と呼ばれて親しまれている。
日本では戦前、「アン」を原作とした米映画が公開されたことはあったものの、村岡花子が昭和27年に単行本として刊行したことで、若い女性を中心に多くの読者を獲得した。