英語圏の児童文学に詳しい日本女子大の川端有子教授(52)は「村岡訳が刊行されたのは戦後間もなくで、少女の活躍する物語が少なかった。好奇心旺盛で向学心に燃え、努力して周囲を変えていくアンの姿が、当時の読者に新鮮に映ったのだろう」と話す。
川端教授も幼少期、昭和10年生まれの母が愛読していた村岡訳の文庫本を譲り受けたという。「子供時代はアンに注目していたが、大人になって読むと、アンを引き取り育てることで視野が広がっていく(老兄妹の)マシュウやマリラに共感を覚える。周囲の登場人物も個性豊か」と魅力を語る。
良質な派生作品も
また日本では、高畑勲監督と宮崎駿監督がテレビで最後にタッグを組んだアニメ版(昭和54年)や、劇団四季によるミュージカルなどが生まれた。特にアニメ版はアンが馬車で自然の中を駆け抜けるオープニングが有名で、「30~40代にはアニメで『アン』を知ったという人が多い。原作に忠実で、自然描写が素晴らしい」と川端教授。良質な派生作品によって物語が定着したことが、世代を超えて親しまれてきた理由になっているようだ。