原子力規制委員会が九州電力川内原発1、2号機の事実上の「合格証」を九州電力に交付した。ら許可証を見せる九州電力の中村明上席執行役員=10日、東京・六本木の原子力規制庁(寺河内美奈撮影)※一部画像処理しています【拡大】
九州電力川内(せんだい)原発の“合格証”が10日、交付され、再稼働に向け大きな弾みとなる。だが、火山の巨大噴火の備えに対しては、有識者から疑問の声が上がっている。さらに、地元にとっては深刻な事故が起きた際の避難計画の整備に不安が募っており、国の支援体制の充実を要求。安全性に加え事故対応をどうするか、再稼働に向け地元は、難しい課題も抱えている。
川内原発の半径160キロ圏内には、過去に巨大噴火した5カ所のカルデラ(大きなくぼ地)があり、全国の原発の中でも最も巨大噴火に襲われる危険性が高いとされる。
原発の火山対策はこれまで事業者任せにしており、「国レベルの体制をつくるべきだ」(東京大の中田節也教授)などの批判的な声が出ていた。原子力規制委員会は今月2日、原発周辺にある火山の巨大噴火に備えるための「基本的な考え方案」を公表。「判断は規制委が責任を持って行う」と踏み込んだ。
ただ巨大噴火は1万年に1回程度とされており、規制委の田中俊一委員長は「原発の稼働期間中には起こらないだろうが、モニタリングをしっかりする」と強調している。
一方で、事故が起きたときに周辺住民がどのように安全に避難できるのか、国はこれまで計画の策定を地元に丸投げしてきた。原子力災害対策特別措置法などで「自治体の事務」とされているからだが、ノウハウに乏しい地元は「もっと国が関与すべきだ」と指摘してきた。
国は今月8日、こうした地元の声に押される形で、内閣府の原子力防災専門官や経済産業省の職員ら計6人を鹿児島県に派遣。再稼働に向けた地元了解を得るために関与を強めた格好だ。地元の悩みは、避難が複数の自治体にまたがるために、避難ルートや避難所の確保の調整に難航してきたことにあり、地元は国の手腕に期待している。
地元の不安を解消できれば、地元の了解を得られ再稼働へと結びつく。鹿児島県の伊藤祐一郎知事は来月9日から審査結果の説明会を開催すると表明した。