もう1つの議論は、排出量削減目標について、提出すべき情報(基準年、対象ガス、目標の形式など)をどこまで規定するべきか、という点だった。この点についても、出すべき情報を先進国と途上国で明らかに差別化したいと主張する同志国グループと、最低限の情報は共通にするべきだと主張する先進国、そして先進国と途上国の差異化は残しつつも、途上国の中でも、将来的には徐々に先進国の総量目標に近い形式で目標を出していくことを示唆するべきとするブラジルなど、多様な意見が出された。
議論の結果、国別目標案の中身は、あくまで各国が独自の判断で出すことを前提としつつ、排出量削減に関する情報が列挙されることで、排出量削減目標が中心であることが示唆された。一方、適応策についても国別目標案で言及することが奨励されたことで、部分的に途上国の意向を汲んでいる。
注目すべき点は、義務的な項目ではないものの、提示した国別目標案がなぜ野心的(十分な削減であるといえ)かつ公平なものといえるのか理由を書く-という項目に言及があったことだろう。つまり、削減の技術的な情報提示だけでなく、その世界全体の取り組みの中で妥当性を持っていることについても述べることが奨励されたといえる。日本が提出する目標案でも、この視点を取り入れることが重要である。
国別目標案を提出した後の国際的プロセスについては当初、各国が出してきた国別目標案について2015年6月や秋ごろの会合で、お互いに不明な点を確認しあったり、全体として評価したりする場の設置が期待されていた。同年末のCOP21・COP/MOP11(フランス・パリ)での最終合意の前に、各国の目標案をチェックし合うもので、「事前レビュー(ex ante review)」と呼ばれていた。