【ワシントン=小雲規生】約半年で半値以下になった急激な原油安で、米国のシェール関連企業への影響が拡大している。米メディアによると、テキサス州のシェール開発企業、WBHエナジーは8日までに米連邦破産法11条の適用を申請した。原油安による売り上げ減少が要因で、シェール開発企業の破綻は初めてとみられる。米国のシェール開発会社はこれまで資金を借り入れて開発を続けてきたが、今後は採算が取れなくなるケースが増えるとの声も出ている。
シェール開発は地中のシェール(頁岩)層に割れ目を入れてオイルやガスを取り出す。近年採掘手法が確立され、米国で生産が拡大した。その結果、2009年に19・5億バレルだった米国の原油生産量は13年には27・1億バレルまで増加。増加分の多くがシェールオイルによるもので、米エネルギー省のモニツ長官は8日、ワシントン市内で「15年も原油生産量は増えるだろう」と話した。
しかしシェール開発の現場では大変動が起きている。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、米国のエネルギー企業が抱える負債は10年に1280億ドルだったが、直近のデータでは1990億ドルまで拡大。一方、原油価格は08年のピークから約3分の1まで値下がりした。
シェール開発企業では原油の売却で得られる収入の減少により負債の返済が滞るケースが出ているとみられ、「資金の貸し手が開発企業に対して、さらに原油価格が下落した場合の返済計画や資産の売却を求めている」(アナリスト)との指摘も出ている。
米石油サービス会社ベーカー・ヒューズによると、リグと呼ばれる掘削施設の数は2日現在で1482基で、昨年10月から減少傾向をたどっている。また昨年末にはメキシコ湾での石油開発を手がける企業が300人超の従業員を一時解雇するといった動きも報じられており、開発の手控えが広がっているかたちだ。