--欧州に住まわれて、国の安全保障の重要度を感じますか
「今、世界の中でEUは豊かさを保とうとしています。しかし、その中でEUとしての協調と加盟国の利害がしのぎ合っているのが現状です。一方、そのEUの外壁を崩すように何十万人という難民が入ってきます。そんな現実を突きつけられますと、政治はいかに大切か、産業はいかに大事かということを痛感させられます。日本は民主的な国家で、一部の人間が富を独占しているわけでもありません。政治と産業界が二人三脚で豊かな国をつくってきたのです。その先人から受け継いだ豊かさを壊してはいけないと思います」
--日本の中期的なエネルギー政策はどうあるべきでしょうか
「将来的に脱原発が可能になる技術革新があるのかもしれませんが、今は再エネの力不足が明確な以上、安全性を確認した原発を再稼働するのが資源のない日本として現実的な選択だと思います。そのためには、国民の中にある原子力に対するアレルギー、恐怖心を取り除くことが大切です。今一番何が必要かを、冷静に科学的に判断するために、議論できる場をできるだけ多く設けるべきだと思います。福島の事故は痛ましく、決して忘れてはならないものですが、日本の産業力を支えてきた原子力の便益をすべて投げ捨ててしまう必要はありません。そもそも、リスク・マネジメントはリスクをゼロにすことではなく、あらゆるリスクを想定して、それをどうやってゼロに近づけるかということです。原子力発電も同じで、怖いから止めるのではなく、対策を万全にしていくのが科学の進歩です。ドイツでは電力会社の再エネ市場でのシェアが2%と低く、出遅れたといわれていますが、日本の電力会社は再エネの技術開発にも注力し、自らが市場をリードすべきだと思います」(聞き手 神卓己)
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