再稼働に向けた手続きが進む九州電力川内原発1、2号機=鹿児島県薩摩川内市【拡大】
原子力の電気を火力で代替したことで、多くの副作用も生まれた。まず国民生活に直結するのは、電気料金の値上げだ。震災前に比べると、家庭向けで約2割、すでに自由化されている産業向けでは約3割も高くなった。原子力の替わりに火力で電気をつくるLNGなどの燃料費が年間約3兆6000億円にも達したためだ。国民の富が1日あたり約100億円も海外に流出し続けている計算になる。日本経済への打撃は想像以上に大きく、国力のバロメーターにもなる貿易収支は、最近でこそ原油安でやや好転しているものの、12年に過去最高の赤字を32年ぶりに記録して以来、3年連続で赤字額を増やしている。
◆再エネ普及にも必要
地球温暖化対策の理由も大きい。石油や石炭などの化石燃料を燃やした際に出る二酸化炭素(CO2)は地球温暖化の原因とされ、CO2を出す量を減らして温暖化を防ぐことが世界共通の課題となっている。だが、日本では発電時にCO2を出さない原発を震災後に次々と止めたため、13年の電力部門のCO2排出量は1990年に比べて6.5%増加、国内全体では12億2400万トンとこれまでの最高となった。こんな状態では日本はCO2など温暖化ガス削減の国際協議から取り残されてしまう恐れもある。
温暖化対策では、今年末に各国の代表がフランスのパリに集まり、20年以降の各国の温暖化ガス削減目標を決める予定だ。政府は30年時点の電源構成で原子力を20~22%に設定し、再び削減への取り組みを始める考えだが、そのためには原発の再稼働が大前提となる。電源構成比率で22~24%を目指す太陽光などの再生可能エネルギーも発電時にCO2を出さないが、天候の影響を受けやすく不安定なのが欠点だ。政府は再エネの比率を高めていくためにも原発が必要とみている。
◇