駐日英国大使館環境・エネルギー部副部長ナオミ・カウワンさん【拡大】
□駐日英国大使館 環境・エネルギー部副部長 ナオミ・カウワンさん
■新規原発に優遇措置
--英国は新規原子力発電所の建設を促すため、原子力で発電した電気にも再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)と同様の優遇措置を適用する政策支援を決め、原発推進に動き出しています。どうしてですか
「英国ではエネルギーに関する3つの課題を『トリレンマ』と表現し、エネルギー問題はこの3つの課題を軸に対応策が検討されています。1つは低炭素社会の実現、2つ目はエネルギー安全保障、3つ目がエネルギーの低価格化です。日本で『3E(エネルギー安全保障、環境性、経済性)+S(安全性)』と言っているのと同じだと思います。このトリレンマに対応するエネルギー源としては、発電時に二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを出さない低炭素電源である再生可能エネルギーと原子力があります。しかし、再エネは技術開発コスト、原子力は初期投資が高くつくという問題があります。英国政府はこれまで、再エネへの政策支援を行うことで技術開発を進めようとしてきましたが、温暖化による気候変動が地球規模の課題として認知される中で、成熟した技術である原子力にも同様の支援を適用し、新規原発の建設を後押しするようになりました。これが2013年12月に法制化されたエネルギー法に盛り込まれた差額補填(ほてん)契約(CfD)です。CfDは電力市場改革の一環として低炭素電源促進のために導入された制度です。原子力を含む低炭素電源の発電事業者と政府がプロジェクトごとに契約する購入価格(ストライク・プライス)と市場価格との差額を政府が補填する仕組みによって原発に対する長期的な投資を促し、新規原発の建設および技術開発の促進を目指しています」