食肉や革製品として
捕獲されたキョンはほとんどが殺処分されるが、一部、食肉や革製品として活用されているものもある。
フランス料理店「deco」(東京都渋谷区)では2年前ごろから、房総半島で捕獲されたキョンを猟師から直接仕入れ、ローストしたり、ミンチにして「パテ」にしたりして不定期で提供している。シェフの室田拓人さん(33)は「鹿肉をあっさりさせた感じ。当店で初めて食べる人がほとんどだが、『おいしい』となかなか好評ですよ」と話す。
また、キョンの頭皮から作られたセーム革は最高級品で、バイオリンなどの楽器の手入れに用いられている。
しかし、産業に結びつけるには、食肉処理場などの整備をはじめ、人材育成や採算性などの課題があり、大島町の担当者は「対策に乗り出したばかりで、産業化を検討する段階にはない」と説明する。
都の幹部も「早急に駆除することが優先で、産業化は難しいだろう」と述べ、キョンとの戦いに効果的な方法を見いだせずにいる。