原子力規制委員会の勧告を受けた高速増殖炉もんじゅ=福井県敦賀市【拡大】
原子力規制委員会の田中俊一委員長は13日午後、東京・霞が関の文部科学省を訪れ、点検漏れなど不祥事が続く、同省所管の日本原子力研究開発機構(JAEA)について、「高速増殖炉原型炉『もんじゅ』の運営主体として必要な資質を有していない」とし、別の運営主体を見つけるよう、馳浩文部科学相に勧告した。文科省はこれを受け、省内の検討会で議論、半年後に勧告への回答を義務づけられた。
勧告によると、《もんじゅはナトリウム事故以降、安全管理体制の再構築で成果を挙げておらず、原子力機構では安全に運転ができるとは考えられない》と指摘。そのうえで、文科相に対し、機構に代わる運営主体の提示のほか、提示できない場合は、施設のあり方を抜本的に見直すよう求めた。
◆「弁護士不在の裁判」
もし、設置許可が取り消されれば、JAEAはもんじゅの運転ができなくなる。炉規制法に欠格条項規定があり、一度取り消されれば、一定期間、設置許可を取り直せないからだ。また、もんじゅの現実的な受け皿になり得るとみられる電力会社は、来年4月からの電力小売りの全面自由化を目前にして余裕がなく、自社の原発再稼働に専念したいのが本音。代替運営主体がなければ廃炉の可能性もある。
そもそも、この勧告には、重大な欠陥がある。地元地域への無配慮と、技術立国の視点の欠如だ。勧告案の概要が明らかになった4日の原子力規制委の定例会合後、もんじゅと20年余り共生してきた地元では大きな動揺が広がった。
西川一誠福井県知事は「規制委員会のこれまでの助言も親切さが欠けている」と批判、「運営体制は、JAEAと文科省、規制委の3者が当事者として責任を持つべきだ」と述べた。
また、ある地元企業のトップは、規制委の対応を「弁護士不在の裁判」に例え、「規制委がJAEAの言い分に耳を傾けず、強い権限を背景に一方的に“判決”を言い渡した」と憤った。