美術館や博物館の展示に最新のデジタル技術を取り入れ、これまでとは違った美術品や文化遺産の見せ方を探る研究が進んでいる。大日本印刷(DNP)が東京都品川区のDNP五反田ビルで2006年から運営しているDNP ミュージアムラボで、2月からスタートした展示では、フランス国立図書館が収蔵する古い地球儀や天球儀を、全方位から撮影して3Dデジタル化し、実物に触れなくても、タブレット上で自在に回して情報を確認できるようにした展示を提案。VR(バーチャルリアリティ)ヘッドマウントディスプレイを使って、天球儀を内側から見るような展示も行うなど、美術品や文化遺産をながめるだけでは得られなかった体験を鑑賞者に与えている。
DNP ミュージアムラボは2006年の開館以来、フランスのルーヴル美術館が所蔵している絵画や彫刻といった美術品、ギリシャやエジプトで発掘された古代の文化遺産を日本で展示。合わせてDNPが持つデジタルを含めたさまざまな技術を駆使して、深く多面的に作品に迫れる環境を、美術館や博物館に作るための研究を行ってきた。
第1回となったジェリコーによる絵画「銃騎兵」の展示では、出始めだった4Kのハイビジョン映像をシアターで上映するとともに、ディスプレイに触れて情報を自在に引き出すインタラクティブ的な展示を行っていた。こうした取り組みを2013年にいったん終えたDNP ミュージアムラボが、次に取り組んだのが、フランス国立図書館が収蔵する貴重な文化遺産の見せ方だった。