
住友電気工業子会社の元派遣社員による架空発注の流れ。偽りの経歴と巧みな話術で約1億5000万円をだまし取っていた【拡大】
起訴状によると、架空発注の回数は24年7月から26年2月の間に、実に約120回に及んだ。子会社側は被害総額はさらに大きいとして、約4億7千万円の損害賠償を求めて、神戸地裁で係争中だ。
一見、請負業者もグルでなければ犯行が成立しないように思えるが、業者側はいずれも、下請け先がペーパー会社とは知らなかった。「取引実績がなく、間に入ってほしい」という男の説明を信じ込んでいたという。業者が疑わなかったのは、男の輝かしい“経歴”に目をくらまされていたからだ。
「同僚から博士と呼ばれていた」
「京大卒で工学の博士号取得という肩書に加え、すごく紳士で物腰も柔らかい。信頼できる人という感じだった」
図らずも詐欺行為に加担させられていた取引先の男性社長は、男の印象をこう語る。
渡された名刺には「工学博士」の記載があり、「今は住友電工から出向して子会社にいる」と説明していた。