不可解な贈与も
しかし、一連の悪事もついに明るみに出る。
26年2月、取引先業者の役員が、下請け先と男との関係に気づいた。その後の子会社側の調査に、男はほどなく観念したが「被害弁償するから警察沙汰にしないで」と懇願したという。
実は、男は25年に所得税を脱税したとして懲役1年2月、罰金2千万円、執行猶予3年の有罪判決を受けていた。発覚当時はまだ執行猶予中の身だった。民事訴訟の中で男がすでに認めている25年以降の架空発注は、この罰金を支払うために行ったものだった。
架空発注以外の火種もある。
男は取引先に不正に気づかれた直後、所有していた和歌山市内の一戸建ての家を妻に贈与している。子会社側は、被害弁済がなされていない中での妻への無償贈与は、財産を不当に減らす行為にあたるとして取り消しを求めている。
その家を訪ねたが、妻とみられる女性がインターフォン越しに「どうぞお引き取りください」と言うのみだった。
「ショーンK」の愛称で知られる経営コンサルタントのショーン・マクアードル川上さんは経歴詐称を認め、ラジオ番組で涙ながらに謝罪した。
男は法廷で何を語るのか。初公判は5月7日に開かれる。