113番元素の化学実験(概念図)カラー【拡大】
原子は中心部に原子核があり、その周囲を電子が回っている。化学的な性質は電子の状態で決まる。重い元素では原子核がプラスの電気を強く帯びているため電子への影響が大きく、予想外の性質が現れやすい。
実験チームによると、113番元素はこうした影響が特に大きいとされ、周期表で同じグループのアルミニウムなどとは性質が異なるとみられる。この元素が将来、社会に役立つかどうかを探る糸口が見つかる可能性もあるという。
実験ではカルシウムとアメリシウムの核融合などで113番元素を合成。金などの物質に吸着する際の温度を手掛かりに、化学的性質や電子の状態を探る。合成法は理研と比べ寿命が数秒と長く、生成効率も高い露米チームの手法を採用する。実験結果がまとまるのは数年後の見通しだ。
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■113番元素 原子核を構成する陽子が113個の元素。化学的な性質が似ている元素が並ぶ周期表の族(縦の列)は、ホウ素やアルミニウムなどと同じ13族だが、性質は分かっていない。理化学研究所は亜鉛とビスマスの核融合で合成し、昨年末に発見者と国際認定され命名権を獲得。年内にも元素名が決まる。理研の合成法での寿命は約千分の2秒と短い。