【高論卓説】米メディアの選挙ビジネス 批判逆手に存在感、トランプ氏が全否定 (2/2ページ)

 また、一部メディアの過激すぎるネガティブキャンペーンは、メディアとネットなどの対立も生み出している。メディアの行う世論調査とネット上での世論調査に大きな差が出ているわけだ。かつて、これはユーザーの年齢層の違いなどが原因とされてきたが、現在のネット普及率を考えれば、そうでないことは明らかである。メディアへの批判票が一部トランプ氏に流れている。

 そして、今回どちらが勝ったとしても、今回の選挙で米国メディアの選挙ビジネスが崩壊したのは間違いないだろう。米国大統領選挙のコストは5000億円程度とされ、その多くがメディアに流れているといわれる。

 しかし、今回トランプ氏は相手候補のネガティブキャンペーンを利用し、トランプ批判という形ではあるが、自己のメディアへの露出度を上げ、自己の政策を全米に広めることに成功した。これは広告媒体としてのメディアの全否定ともいえるものだったのだ。

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【プロフィル】渡辺哲也

 わたなべ・てつや 経済評論家。日大法卒。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。著書は「突き破る日本経済」など多数。46歳。愛知県出身。