暴力団の資金ルートを断つため警察当局と証券業界が暴力団の株式市場からの排除を進める中、暴力団関係者が保有する証券口座が大手証券会社に少なくとも数十存続していることが17日、証券関係者への取材で分かった。証券会社は強制的に解約することはできず、本人が株の売却に応じないかぎりは閉鎖できない。いまだ株主として暴力団が企業に影響力を行使できる状態で、警察当局は警戒を強めているほか、証券業界からは抜本的な対策を求める声も上がる。
複数の大手証券会社関係者への取材によると、残存している暴力団関係者の証券口座数は判明しているだけでも各社に十数程度存在。いずれも新規の株購入など取引は受け付けていないが、保有する株券により、株主総会出席や、配当を受け取ることは可能だ。
暴力団排除の取り組みが進む中、証券業界では平成25年1月以降、警察庁のデータベースと接続し、新規口座に暴力団関係者がいないかチェックしている。
今年に入って既存口座の照会も開始したが、「暴力団排除条項」を盛り込んだ契約書が証券業界全体で整備された22年7月より前の口座は手つかずのままだ。暴力団関係者の口座数はさらに膨らむ恐れがある。
証券会社側は証券口座を強制的に解約させることはできず、閉鎖を依頼することしかできない。証券関係者は「暴力団だと判明しても、相手に『今、売却すると損が発生する』などと言われると、そこで止まってしまう」と指摘する。