スカルポーニの事故死をきっかけに表舞台にたった道路交通法のテーマは、イタリアには自動車は自転車と1.5メートルの距離をとる、ということが明記されていない、という点だ。
したがってこの法規が整備されれば、ドライバーは1.5メートルの距離を確保できないと判断したら、前を走る速度の遅い自転車を追い越せない。
欧州他国の道路交通法では1.5メートルの確保をとるようにドライバーに義務が課され、それへの注意を喚起する標識が設定されている国があるにも関わらず、「我が国は自転車乗りへの安全が確保されていない」とイタリアでは議論している。
自転車専用レーンもとぎれとぎれになっている箇所が多く、必ずしも安心して走れる環境が整っているとは言えない。そしてジョギングコースに使う人も少なくない。ランナーは歩行者を後ろから驚かしたくないし、何よりも自分のリズムが狂うのを嫌がる。そこで自転車専用レーンを選ぶ。
1.5メートルに集約される文化的問題は、殊のほか、大きい。(安西洋之)
【プロフィル】安西洋之(あんざい ひろゆき)
上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『デザインの次に来るもの』『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih
ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。