
クリスパーの役割【拡大】
この配列は後に「クリスパー」と名付けられた。
■爆発的な普及
1990年代。塩基配列の解析速度が飛躍的に高まった。細菌、植物、そしてヒトと、さまざまな生物のDNA解析プロジェクトが動いた。
その中で、ある研究者が、古細菌でクリスパーを確認した。
2000年代になると、クリスパー配列が免疫機能と結びついていることが、明らかになった。
仕組みはこうだ。
細菌にウイルスが侵入した場合、クリスパーとクリスパーの間に、ウイルス由来のDNA情報を取り込む。後に、同じウイルスが侵入すると、クリスパー間に収集した情報を基に、「キャス9」と呼ばれる酵素が、ウイルス由来のDNAを切断・破壊する。
この仕組みを応用すれば、DNA上の標的とする遺伝子を、正確に切り取り、情報を挿入することもできる。ゲノム編集だ。「クリスパー・キャス9」を、米国とドイツの研究者が開発した。シンプルで柔軟性が高く、世界中の研究者が飛びついた。
ゲノム編集の爆発的普及で、石野氏の論文は頻繁に引用されるようになった。