
メチルシクロヘキサン【拡大】
パイプラインは、日本では全面的なインフラ整備が大変でコスト面での課題もあることから、局所的な利用になるといえます。圧縮水素は、もっとも普及している方法ですが、高圧ガス保安法による制限で圧縮率の向上に限度があり、輸送効率の観点から長距離輸送には向きません。また、液化水素は、マイナス253度で液化して輸送するため、輸送効率が高い半面、液化・輸送・貯蔵において専用設備が必要です。また、長期間になるほど気化する割合が高くなるため、長距離輸送への適用には、断熱効率の向上や気化水素の再利用技術確立などの課題を解決する必要があります。
一方、OCH法は、液体の有機媒体に水素を反応させ、異なる化学物質に変換、安定化させて輸送する方法です。「水素を常温・常圧で扱うことができるので、より安全に、大量貯蔵・長距離輸送ができます」(大島氏)
◆脱水素触媒の開発成功
同社は、子安オフィス・リサーチパークに13年、実証プラントを設計・建設し、海外拠点で製造した水素をOCH法で運搬しやすくして日本に輸送し、国内で水素を取り出すこと(脱水素)を前提に、実用化に向けたさまざまな検証試験を行っています。
「実証プラントの反応設備は、水素化反応セクションと脱水素反応セクションからなります。水素化反応セクションでは、トルエンと水素を結合させ、メチルシクロヘキサン(MCH)を作ります。MCHは、6wt%(重量パーセント)の水素を保持し、1リットルの液体状態で水素ガス0.5立方メートルを貯蔵できる“水素キャリア”です。また液体のMCHには、約500倍の水素ガスが含まれます。このMCHを、『SPERA水素』と呼んでいます」(中田氏)