【寄稿】レトロテクノロジー<蓄熱> 再エネ拡大に脚光 (3/4ページ)

エネルギー総合工学研究所主管研究員岡崎徹
エネルギー総合工学研究所主管研究員岡崎徹【拡大】

  • 図1独シーメンスが開発を開始した蓄熱発電所(シーメンスのホームページより)
  • 図2世界の蓄エネルギー設備の実態

 実は最も多く稼働する蓄熱発電

 蓄熱にはCSP導入に伴って多数の実績がある。図2は揚水を除く世界の蓄エネルギーの実態を示す。しかし、国際再エネ機関(IRENA)でさえ2015年発行資料の一つ「Battery storage for renewables: market status and technology outlook」では「蓄熱からの発電はまだ開発段階である」と述べるほどの事実誤認がある。さらにIEAの「Energy Technology Perspectives 2017」では蓄熱にほとんど触れられていない。日本での報告会で担当者に直接質問すると、紙幅の関係などで落とした、とのことであった。

 実際は蓄熱のプロジェクト数は少ないながら、全電池システムの6倍もの蓄エネルギー量を持つ。世界で蓄エネルギーは、と聞かれれば蓄熱であるのが実態である。しかし金額ベースでは恐らく10分の1以下で、プロジェクト数も少なくノウハウ流出を嫌って発表も少なく、実態が知られていない。研究開発投資に至っては圧倒的に少ないと思われる。また24時間安定発電を実証したのも2011年と比較的新しい。さらに蓄熱にはさまざまなバリエーションがあり、実用化された2GWh(超大型発電所の2時間分エネルギー)もの蓄積をする巨大設備から実験室レベルの物までさまざまである。蓄熱技術も単純で実用化された顕熱蓄熱から、より低コスト化・長貯蔵期間を狙った潜熱・化学蓄熱など開発中の物がある。

再エネにも多様性が必要