また海外の事業を通じてアジアからのインバウンドを増やすのも課題です。最近は家族旅行で福岡に来る外国人観光客も増え、ここから別の場所に移動する流れも出てきた。その移動にバスを利用する人の割合が高くなっています。九州全域で使えるバス乗り放題(高速バス含む)の「SUNQ(サンキュー)パス」は、海外だけで年間16万枚を販売しています。これは1日約450枚の計算。福岡にインバウンドが増えれば、九州全域に経済効果を及ぼすので、海外事業を通じてアジアと福岡をもっと近づけたいという狙いもあります。
(左)2両のバスを繋げた西鉄の連節バス。利用する外国人観光客も多く見かける。(右)九州全域と、全国主要都市を結ぶ西鉄天神高速バスターミナル。1日の高速バス到着本数は約1500台にも上る(PRESIDENT Onlineより)
天神の街では、いたるところにキャリーバッグを引いて歩く外国人観光客の一団を目にし、彼らがバスを利用する光景も頻繁に見かける。「SUNQパス」は、九州全域のバス会社が協力し合って11年前に発売開始。「九州の各バス会社が協力して実現したもの。他の地域では難しいのでは」(倉富社長)と、九州の結束の強さを強調する。
--昔から福岡市には産業がないと言われる中で、大規模な産業開発に向かわず、21世紀型のコンパクトな都市を目指してきたのはなぜか。
【倉富】コンパクトシティを目指さざるをえなかったというのが実情です。というのも福岡市には決定的な弱点があった。近くに大きな河川がなく、常に水不足に悩まされてきました。水がないから工場が来ない。製造業も来ない。みんなお隣の北九州市に行きました。北九州市の人口が100万人を超える頃、福岡市は40万~50万人。九州で大都市と言えばずっと北九州市でした。
ところが製造業に向いていなかったことがいまに繋がりました。工場がないから公害がなく、その対策にお金を使わなくて済みました。海も山も自然が守られ、世界屈指の節水型の都市が出来上がった。そのうちに時代が製造業中心から環境優先へと変わり、福岡が注目されるようになったわけです。