ニュートリノの質量発見20年 「神岡から3つ目のノーベル賞狙う」「若手研究者の待遇改善を」 東大宇宙線研究所長・梶田隆章氏 (1/3ページ)

ニュートリノ研究について語る梶田隆章氏=千葉県柏市(佐藤徳昭撮影)
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 東大宇宙線研究所の梶田隆章所長(58)が素粒子「ニュートリノ」に質量があることを発見してから今年で20年。ノーベル物理学賞に輝く歴史的な発見は、岐阜県飛騨市神岡町にある観測装置「スーパーカミオカンデ」で生まれた。梶田氏らは、より進化した後継施設「ハイパーカミオカンデ」を建設し、物質や宇宙の根本的な謎に迫ろうとしている。(小野晋史)

                   

 --ニュートリノに質量があることを示す振動現象の発見から20年を迎える

 「発見で世の中が急に進み始め、この20年で研究は非常に大きく進歩した。3種類ある振動が理解され、ニュートリノの質量についても基本的に分かった」

 --どのような気持ちで発表に臨んだのか

 「当時は助教授で39歳。それまでの10年間はなかなか受け入れられなかったが、『今回はこれだけのデータを示すのだから、何とかして説得するぞ』との思いで、ある種の高揚感があった」

 ◆若手育成と待遇改善

 --研究環境の変化は

 「2008年に宇宙線研の所長になったことは、とても大きな変化だった。それまでは自分の好きな研究をやるのが仕事だったが、所長は研究所全体を見なければならない。特に、今の若手は本当に一生懸命やっているが、(国が助成する)運営費交付金の削減で国立大の運営が厳しくなり、若手のポストが減っている。日本の科学にとって非常なマイナス要素で、改善していく必要がある」