高須院長を挑発した男の愚かさ ネットの「謝ったら死ぬ病」は身を滅ぼすだけ (3/4ページ)

高須クリニックの高須克弥院長(宮崎瑞穂撮影)
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◆謝って済むなら謝ったほうがいい

 この騒動ではAの論理のすり替えが責められるべきで、高須氏に非はない。

 一方で、高須氏の一件とは別の問題になるが、もうひとつ、謝罪においては「怒っている人にはとにかく謝る」という姿勢を持つことも大切だ。人が怒るのにはそれなりの理由がある。謝罪によって多額の賠償金を取られるのであれば、謝ることには慎重になった方がいいが、そうでなく「気持ちの問題」の場合は謝罪した方がいい。

 さて、この「謝り時」と「とにかく謝る」で印象的だったできごとがある。2001年、博報堂を入社4年目で辞めた私は、朝日新聞が発行するタブロイド紙「セブン」のライターになった。ライター未経験だったのだが、会社員時代の先輩である嶋浩一郎氏(現・博報堂ケトル共同CEO)が当時朝日新聞に出向しており、「お前暇だろ?」と誘ってくれたのだ。

 911の米同時多発テロの時期に発行していた新聞だっただけに、Bさんという女性ライターとイスラム教関連の特集をよく作っていた。

 ある時、Bさんが嶋さんに救いを求める電話をかけてきた。

「たいへんです! 山田先生(仮名)が激怒しています! 私の書いた内容が全然ダメで理解が足りん! 上の者を出せと言っています!」

 Bさんはイスラム教関連の大家である山田先生に取材。執筆した原稿を先生にチェックしてもらったところ、意図がずれていると激怒されたのである。まだ世に出す前なんだからそんなに怒ることはないだろうよ……とも思うのだが、先生にとってはまともに対応したにもかかわらず、記者の理解不足が腹立たしかったのだろう。

 嶋さんはBさんに対し「分かった。とにかく行けばいいのね」と言い、すぐに朝日新聞社を出て山田先生の勤務する大学に向かった。「このたびは大変失礼しました。原稿の問題点をぜひともご教授ください」と嶋さんが頭を下げたところ、山田先生は「キミは分かってるね! いいね、いいね!」と相好を崩したのだという。

「謝ったら死ぬ病」は友人も失う