
工事現場に掲げられたゼネコン各社のロゴと、リニア車両と、検察庁の庁舎のコラージュ(共同)【拡大】
異例の検察主導は、談合の端緒をつかんだのが検察側だったことなどがあったためとみられる。
「従来の手法否定」
捜査を進展させたのは独禁法の課徴金減免制度に基づく“自首”だった。大林組は4社による談合を真っ先に認めたが、鹿島建設、大成建設、清水建設の3社は当初、否定していた。
ところが、自主申告期限の1月下旬、清水も自主申告したとみられることが判明。「1社でも申告したら、(4社の結束は)崩れる」と検察幹部が予想した通りの展開となった。
談合を認定されれば公取委から多額の課徴金を科され、株主から経営陣の過失を問う株主代表訴訟を起こされるケースもある。申告の背景には、こうした「リスクヘッジ」(危険回避)もあったとみられる。
ただ、大林組と清水は公取委の調査開始後に申告したため、本来は刑事訴追までは免除されない。にもかかわらず、公取委は大林組と清水の元幹部の告発を見送り、特捜部は不起訴(起訴猶予)とした。