
工事現場に掲げられたゼネコン各社のロゴと、リニア車両と、検察庁の庁舎のコラージュ(共同)【拡大】
独禁法に詳しい弁護士は「従来の公取委のやり方を否定するもので、おかしい」と疑問視する。「6月導入の司法取引も視野に入れているのでは」(元検事の弁護士)との見方もある。
作為的な取引分野
これまでの談合は、一連の発注を広くとらえ、関連工事全体で立証するケースが多かったが、今回は立件対象を品川、名古屋両駅分に限定した。南アルプストンネル工事の受注も交換条件だったとされるが、立証しやすい部分に絞り込んだとみられている。これについても先の弁護士は「極めて作為的な取引分野の設定だ」と批判する。
一方、リニアは高度な技術を必要とする難工事。工法の研究に5年以上費やすこともあり、ゼネコン業界には「担当者間で技術面の情報交換をしていただけだ」との意見も根強い。JR東海の意向が強く働いていたケースもあり、もともと自由な競争ができる環境ではなかったとの主張だ。
大成の関係者は「受注調整かどうかは評価の問題で、公判でも徹底的に戦う」と語り、鹿島の幹部は「間違いなく最高裁まで争う」と強調した。