【松本真由美の環境・エネルギーDiary】占用ルール整備 洋上風力本格拡大へ (2/4ページ)

福島浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業の下で設置された5メガワットの「ふくしま浜風」
福島浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業の下で設置された5メガワットの「ふくしま浜風」【拡大】

  • 米GEが21年の市場導入を目指す12メガワット風車(同社提供)
  • 三菱重工業とヴェスタスの共同出資会社MHIヴェスタスの工場

 経産省と国交省から公募占用計画(発電事業の内容や供給価格など)が認定された事業者は、発電設備のFIT認定を受けることになります。

 促進区域については、地域や関係者の理解を得て、30年度までに5区域を指定する方針です。

 昨年12月末時点で、国内の洋上風力発電の導入実績は、国の実証事業で建設された6基(計約2万キロワット)と、FIT認定を受けた7件(計約13万キロワット)にとどまります。一方、環境アセスメント(環境影響評価)の手続きが進められている案件は、港湾区域で計57万キロワット、発電ポテンシャルがより大きい一般海域では計376万キロワットと増えています。

 世界の洋上風力の状況

 新エネルギー財団によると、世界の風力発電の累積設備容量は17年末時点で518ギガワット。このうち、洋上風力は16ギガワット(3.1%)です。英国5.8ギガワット、ドイツ4.8ギガワット、中国1.9ギガワット、デンマーク1.3ギガワット、オランダ1.1ギガワット、ベルギー0.9ギガワットと、欧州を中心に導入が進んでいます。

 欧州では政府が洋上風力の導入計画を明確化して、環境アセスや系統接続などの立地調整を主導し、発電事業者のリスクを低減させ参入しやすい環境を整えています。その欧州では最近、洋上風力の入札の落札価格が10円/キロワット時未満の案件や、補助金ゼロの事例も出るなど、事業者間の競争激化で価格が急激に下がっています。日本の洋上風力のFIT買取価格は36円/キロワット時(18年度)です。

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