【松本真由美の環境・エネルギーDiary】占用ルール整備 洋上風力本格拡大へ (4/4ページ)

福島浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業の下で設置された5メガワットの「ふくしま浜風」
福島浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業の下で設置された5メガワットの「ふくしま浜風」【拡大】

  • 米GEが21年の市場導入を目指す12メガワット風車(同社提供)
  • 三菱重工業とヴェスタスの共同出資会社MHIヴェスタスの工場

 「日本の洋上風力計画は、海岸から比較的近く、1サイト当たりの設置基数が数十基程度と、欧州と比べると規模が小さい。建設工事には、大型クレーンを搭載した自己昇降式台船(SEP)を使いますが、日本ではこの種の船が希少なうえ、用船料が1日当たり数千万円です。日本の開発規模に適合するSEPの開発が望ましい。また、台風、地震、雷など類似した気象条件や海象条件を有する近隣の国や地域と協力して洋上風力を開発するなど、国策として進める必要があります」

 このほか、環境アセスの手続き迅速化や電力網への接続問題など、政府の制度面での支援も必要です。課題も多いですが、一般海域の占用ルールを整備する法案は大きな一歩! 洋上風力の開発動向に注目したいと思います。

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【プロフィル】松本真由美

 まつもと・まゆみ 東京大学教養学部客員准教授(環境エネルギー科学特別部門)。上智大学在学中からテレビ朝日のニュース番組に出演。NHK-BS1ワールドニュースキャスターなどを務める。環境コミュニケーション、環境とエネルギーの視点から持続可能な社会のあり方を研究する傍ら、シンポジウムのコーディネーターや講演、執筆活動などを行っている。NPO法人国際環境経済研究所(IEEI)理事。