【ニュースを疑え】「いい言葉を流行らしてくれた」 フェイクニュース、養老孟司氏に聞く (1/5ページ)

ようろう・たけし解剖学者。平成15年出版の『バカの壁』は大ベストセラーで流行語にもなった
ようろう・たけし解剖学者。平成15年出版の『バカの壁』は大ベストセラーで流行語にもなった【拡大】

  • 養老孟司氏=神奈川県箱根町(寺河内美奈撮影)
  • 養老孟司氏=神奈川県箱根町(寺河内美奈撮影)

 ウソや真偽不明の情報がニュースとしてネット上で拡散し、現実世界を動かし始めている。2016年の米大統領選や英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票では、フェイクニュースが結果に影響を与えた可能性もあるといわれる。しかしそもそも「フェイクニュースをめぐるニュース」に疑いはないだろうか。著書『バカの壁』でひとには思考の壁があると説いた解剖学者、養老孟司東京大名誉教授に聞いた。(坂本英彰)

 フェイクで育った

 〈米大統領選ではローマ法王がトランプ氏を支持したとの情報が拡散し、後にウソと判明した。トランプ大統領は自らに都合の悪い報道をフェイクとして攻撃し、フェイクニュースの定義があいまいなまま言葉としてさらに一般化した〉

 --フェイクニュースと聞いて、どんなことを考えますか

 「僕らはフェイクニュースで育ちました。大日本帝国です。小学校2年で終戦。バケツリレーだ、竹やり訓練だとやらされていたのですが8月15日にころっとひっくり返った。戦時中の報道は何だったのか。全部フェイクですよ」

 「自分が生まれた昭和12年11月11日の新聞を見たことがあります。この年の7月に日中戦争勃発の盧溝橋事件が起きています。新聞は表と裏だけで、中国での戦闘記事ばかり。何々中隊がどこそこで何をしたとか。火事もけんかも殺人もない。限られた紙面が戦闘で埋められているのは、他に重要なものはないとのメッセージです。これも一種のフェイクでしょう」

「いつ百八十度変わるかわからない」