ガイドブックに掲載されている大仏の写真をスマートフォンで送信すると東大寺の情報が画面上に現れ、進行方向にスマホをかざすと目的地までのルートが現実の風景の中にカーペットのように表示される-。近鉄などは増加する訪日外国人客(インバウンド)に対応しようと、AI(人工知能)とAR(拡張現実)を活用した観光案内の導入を目指しており、近鉄奈良駅(奈良市)で昨年7月と11月に実証実験を行った。冒頭はその様子で、スマホを使った案内は言葉や地理が分からない外国人に好評だった。最先端のテクノロジーを駆使し、古都・奈良をおもてなしする時代がそこまで来ている。(藤木祥平)
増加する訪日外国人客
奈良観光の玄関口、近鉄奈良駅。駅構内にはさまざまな言語が飛び交い、改札口付近では駅員が身ぶり手ぶりを交えて訪日外国人客を案内している。今やすっかり日常の光景だ。
市観光戦略課によると、2017年の1年間に奈良市を訪れた観光客は、前年比約5%増の約1631万人。このうち外国人は199万人に上り、4年連続で過去最多を更新した。
訪日外国人向けIC乗車券「関西ワンパス」(KANSAI ONE PASS)の分析結果を見ると、2017年4~12月、奈良への訪問客数は前年比約3.4倍の4万8千人を数えた。近鉄を利用する外国人観光客数も2年で約1.5倍に。増加するインバウンドにいかに対応するかが、重要な課題となっている。
近鉄奈良駅に2年近く勤める駅員の田中友也さん(34)は「道案内やICカードの不具合があった場合は、片言の英語で頑張って伝えています」と話す。
同駅では英語と中国語に対応するコンシェルジュが常駐するほか、ソフトウエアの企画開発を手掛けるソースネクストの自動翻訳機「ポケトーク」も活用している。それでも、全ての問い合わせにスムーズに対応するのは難しいという。