社内で昨年6月に実施したアンケートによると、駅員が業務上で最も困るのは、「外国人観光客に対するトイレなどの駅構内設備と観光施設への案内」だった。
「シームレス」な案内を
今年の日本でのラグビーワールドカップ(W杯)、1年後の東京五輪・パラリンピックを控え、訪日外国人客はさらに増えると見込まれる。そこで近鉄は沿線で最も外国人利用者が多い同駅で、スマホの衛星利用測位システム(GPS)や画像認識機能とAI機能などを組み合わせ、目的地までのルート案内を行う実証実験を行った。年齢や言語を問わずシームレス(切れ目のない)な案内を提供するのが狙いだ。
この案内サービスは「奈良ガイドボット」と呼ばれるアプリで、スマホ画面上で行きたい場所を入力したり、ガイドブックなどから観光地の画像を送信すると、アプリのキャラクターが対話形式で目的地まで案内してくれる。
NTTが提供する画像認識AI機能と対話(チャット)AI機能を活用しており、AI機能は観光のポスターやパンフレットに掲載されているQRコードをスマホに読み込んで使う。
たとえばガイドブックのシカの画像をスマホのカメラで読み込むとAIが目的地を割り出し、奈良公園の情報と地図が図示され、キャラクターが案内してくれる仕組み。言語は日本語のほか、英語と中国語に対応している。
また、住宅地図大手のゼンリンなどの協力を得て、駅から目的地までの道案内にAR(拡張現実)を活用。屋内でもスマホを進む方向にかざすと、実際の風景に目的地までのルートが示される。
近鉄はこのほか、スマホで電車の行き先表示をかざすと、目的地に向かう電車かどうかを判断する機能や、降車駅が近づいたら知らせてくれる機能の導入も検討している。