私たちの年金、株で運用して大丈夫? 積立金が大きく目減りするリスク

 

 厚生労働省は、国民年金や厚生年金の積立金127兆円の運用について、投資配分を定める資産構成割合の見直しを認可しました。

 今まで、私たちが支払った年金は、全てが支払いに回るのではなく一部は将来の支払いに備えるために積み立てられてきました。

 平成26年度予算ベースで見ると、老後の年金、遺族年金、障害年金に支払われる年金総額は53・9兆円。一方、皆さんからの保険料収入は34・3兆円、国からの補助は11・8兆円なので、支給するお金と収入との間に、7・8兆円の不足分が発生しています。この不足分は、年金の積立金という貯金を取り崩して補っています。しかも、これから本格的な高齢化社会になってくるので、ますます取り崩す額が増えていきます。

 年金の積立金は約155兆円ありますが、このうち約127兆円を年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用しています。これまでの運用の内訳は、国内債券60%、国内株12%、外国債券11%、外国株12%、短期資産5%の割合でした。つまり、最低でも半分以上はリスクのない国内債券で運用してきました。

 この運用を、国内債券35%、国内株25%、外国債券15%、外国株25%で短期資産は設定しないということに変えます。しかもそれぞれに運用の幅を持たせ、国内債券の許容範囲は±10%、国内株は±9%、外国債券は±4%、外国株は±8%となり、極端な場合、国内債券25%、国内株34%、外国債券15%、外国株26%という運用もありえます。つまり、積立金の7割以上をリスク商品で運用する可能性もあるということです。

 もちろん、債券で手堅く運用するよりは、株などで運用したほうが大きく増える可能性があります。けれど逆に株価が下落すると、年金の積立金が大きく目減りする可能性もあります。

 そうなると冒頭で説明したように、私たちの年金は今の時点でも積立金を取り崩していかなくてはならない状況なので、老後にもらえるお金はますます目減りする可能性があります。

 すでに厚生労働省は来年から、現役人口の減少や平均余命の伸びなどそのときの社会情勢に合わせ、年金の給付水準を自動的に調整する「マクロ経済スライド」という新たな仕組みで、年金の給付額を実質的にカットしていく方針です。だとしたら、大切な年金をせめてこれ以上大きなリスクにさらさないでほしい、と願うのは私だけでしょうか。(経済ジャーナリスト)