「食べる力」に衰え… 高齢の親の食事どうサポートするか

 

 高齢になると、特に持病がない人でも、歯が弱くなったり、食欲が低下したりして「食べる力」が衰える。さらに、買い物や調理が負担になって、食事を調えるのも難しくなる。高齢の親が低栄養に陥らないために、子ができる食のサポートをリポートする。(榊聡美)

 簡易な料理で低栄養

 内閣府の高齢社会白書(平成26年版)によると、65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、「単身」と「夫婦だけ」の高齢者世帯は半数を超える。

 「個人差はありますが、80歳を超えると調理をするのが難しくなり、85歳をめどにやめてしまったり、かなり簡易な料理にシフトしていったりする傾向があります」

 東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)で高齢者の食事指導を行う、管理栄養士の成田美紀さんはこう説明する。

 加齢によってかむ力や飲み込む力、味覚・嗅覚が衰える。食べづらさに加え、体力の低下で台所に立つのが不自由になると、食事を調えることも難しくなる。市販の総菜を買ってきて、数日に分けて食べ続けたり、ご飯とみそ汁、漬物だけの食事が続いたり。「量が少ない」「主菜がない」食事になりがちで、低栄養に陥りやすいのだ。

 このため、高齢者の2~3割が低栄養傾向にあるといわれる。低栄養は筋肉や骨密度の減少、さらには脳機能の低下を早めてしまうという。

 「体や筋肉を作るタンパク質をしっかり取ることが大事なのに、中年期の生活習慣病予防の意識を引きずり、コレステロールを気にして肉と卵を食べない人も少なくない」

 高齢者は食生活に問題を抱えていても、自覚をしていない場合が多く、離れて暮らす子供には「ちゃんと食べているよ」などと説明する。

 このため、どのようなものを食べているのか把握することから高齢者の食事のサポートは始まる。

 子のための料理教室

 「子が親に作りおくごはん」をテーマにした、珍しい料理教室が開かれている。

 ベターホーム協会(渋谷区)では、高齢の親の食事をサポートしたいという40歳以上を対象にした料理教室を全国18カ所で開催。今月8日に行われた横浜教室(横浜市神奈川区)には、40~60代の男女14人が集まった。

 81歳の母親の介護をしている、同市港北区に住む岡野友美さんは、「飲み込む力が弱く、『こんなものでむせるの?』と驚くこともあります。何を作ったらいいのか分からなくて…」。

 そのほかにも、高齢の親の「歯が悪い」「食が細い」といった悩みを抱える参加者が多かった。

 実習のメニューは、「レンコンのみぞれ汁」「サンマ缶のうの花煎り」「はんぺん入りやわらかシューマイ」(同)の一汁二菜。下ごしらえから食べやすい工夫が随所に盛り込まれる一方で、上手に手間を省くコツも。

 低栄養を防ぐ「親のための食事作り6カ条」で、バランスの取れた食事のポイントも学んだ。

 手作り料理だけがサポートではなく、こうした正しい食の知識を提供したり、冷凍食品など便利な食品の使い方をアドバイスするだけでも役に立つ。何より、食卓を囲み、一緒に食べることも大切だ。