人生振り返る「自分史」が人気 講座や編集支援 「子供に伝えたい」

 
自分史を書くポイント

 これまでの人生や挫折、家族、仕事、闘病経験…。自分の生きてきた軌跡をまとめる「自分史」への関心がシニア世代の間で高まり、書き方を教える講座や編集支援サービスが増えている。今年は戦後70年の節目の年。歴史を振り返りつつ、自分史に取り組む人が増えそうだ。(油原聡子)

 子供に伝えたい

 東京都墨田区のすみだ福祉保健センターで6月上旬、「自分史作り教室」が開かれ、60~70代の男女10人が参加した。同区に住む主婦、矢後悦子さん(79)は「80歳を迎える前に、自分の人生を振り返りたかった。子供に自分のことをあまり話していないので、読んでもらえたらいいですね」と話し、これまでの人生で体験した出来事をメモに書き出した。

 講師を務めた、一般社団法人自分史活用推進協議会(東京都品川区)の前田義寛代表理事は「何かのきっかけがあると自分史に取り組みやすい。戦後70年の今年は、良いタイミング」と話す。

 学ぶ場広がる

 自分の生きてきた軌跡をまとめた自分史。文章に写真を交えて製本するケースが多いが、映像を使って作る人もいる。

 前田代表理事によると、最近はシニア向けの生涯学習の場やパソコン教室など自分史の書き方を学べる機会が増えている。定年退職後に取り組む人が多く、仕事や闘病経験、家族のことなど内容はさまざまだ。完成した自分史を、家族や現役時代の会社の関係者に配る人もいる。

 前田代表理事によると、「同じ経験や仕事をしている人が読んで、役に立つような自分史が理想」という。

 脳も活性化

 自分史を書くにはどうしたらいいのだろうか。

 まずは記憶のもとになる日記や写真など資料を集める。「人生全部を書こうとせず、家族や仕事などテーマを決めましょう」と前田代表理事。自分史講座などで仲間同士批評しあったり、第三者に見てもらったりすると、客観的に自分の人生を振り返ることができ、分かりやすい原稿になるという。

 原稿が出来上がったら、印刷会社などに依頼すると製本できる。ページ数やサイズにもよるが、最初の1冊は5万~7万円程度かかる。

 自分史制作用のパソコンソフトやタブレット端末用アプリを使えば、画面上で文章を執筆し、写真も取り込むことが可能。データを送信すると製本できるサービスもある。

 自分史制作サービスの「マイ・ヒストリー」は、インタビュー経験が豊富なライターが取材・執筆し、製本も請け負う。文章に加え写真も入れることが可能だ。1冊28ページつづり(モノクロ)で、20冊まとめて印刷・製本すると30万円だ。持ち込んだ原稿の編集作業をサポートしてくれるプランもある。

 シニア世代で自分史人気が高まっていることについて、東北大加齢医学研究所の村田裕之特任教授(加齢社会学)は「60歳を過ぎると、人は人生のまとめをやりたくなる。知識や語彙力がピークになることも影響している」とする。

 自分史を書くためには、人と会ったり、文章をまとめたりすることが必要で、脳の活性化につながるほか、自分の新たな一面を発見することもあるという。