多くのオーロラ観光客でにぎわう北ノルウェー、トロムソ。観測に臨んだ5日間で幸運にも4日間オーロラに出会うことができ、存分に感慨にひたったわけだが、一方で興味深かったのが、世界各地から集まったツアー客たちの反応だった。
「魂を奪いに」
他のオーロラ観測地より比較的温暖とはいえ、北極から吹きつけるトロムソの風は身にしみる。寒空の下、いつ現れるか分からないオーロラを待ち、突如頭上に荘厳な光が現れた瞬間は思わず叫び出したくなるほどの感動だった。
しかし、ノルウェーの言い伝えでは、オーロラに手を振ったり、口笛を吹いたり、歌ったりしてはいけないという。「そんなことをしたら、オーロラの『精霊』が魂を奪いにくる」。オスロから出張がてらオーロラに会いに来たという男性は真剣な眼差しで語った。彼らは子供のときからそう言い聞かされ、オーロラの光が科学的に解明された今でも、言い伝えを大切にしている。「オーロラは特別なもの」と、その男性はいつまでも、静かに空を見上げていた。