チーフ・デザイナーであるリッチモンドからは「セクシー」「グラマラス」「リッチ」「ロック」という単語を繰り返し聞かされた。しかし、言葉としての意味は分かるが、それらの言葉をカタチとして実際にどう表現すればよいのか、手で分からなかった。
1回目のコレクションでボロクソ言われた村田さんは、次のコレクションで「同じミスは繰り返せない」と覚悟した。その時、ボスはこう背中を押してくれた。
「もっとクリエイターとしての自分を出せ。売れるかどうかを気にするな。コストも考えなくていい。それはコーディネーター(デザインと販売を繋ぐ役割の人)が考えるべきことだし、いざとなればおれ自身が売ってやるから、自分で我慢をするな」
村田さんはデザインの方向性は全く違っていたが良いボスに恵まれた。肌を多く見せるのは下品で、「チラ見せ」がセクシーだと考えていた村田さんにとり、胸のVカットはできるだけ深く切り込むように、との指示は当初、抵抗があった。今もセクシーの解釈に全面的に賛成しているわけはない。
しかしながら、今のブランドが自分の最終目標のスタイルではないが、学生の時に考えていたスタイルがベストであるとも思えなくなった。