コバエが付着していた給食のパン(岐阜県可児市学校給食センター提供)【拡大】
昆虫も食材
それでも、衛生害虫とされ、不衛生なイメージがあるハエが付着したものを食べるのには抵抗を持つだろう。昆虫料理研究会の内山昭一さんは「日本人の多くが昆虫を食材として認識していない現状では仕方がない面はある」とする。しかしながら、「クロバネキノコバエはキノコなど菌類や植物を食べるコバエで、糞(ふん)便などにたかるギンバエなどとは違う。ハエと聞くと抵抗があるかもしれないが、ハチと考えればそれほど嫌ではないのでは」。
内山さんはクロバネキノコバエは食べたことがないが、アリやハチは食べたことがある。多くの昆虫の味は淡泊で、ほのかに甘いのが一般的。桜の葉を食べるサクラケムシのように桜の香りがする「個性派」もいるという。
唐木理事長は「もちろん、ハエを付着させたパンの納入業者に問題がある。しかし、この事故を業者やマニュアルの責任にして終わらせるべきだろうか」と指摘。そのうえで、「食べられる食品を嫌だといって拒否することができるのは、今の豊かな日本だから許されること。それでいいのか。学校給食は教育の一環でもあり、世界の食料事情も伝え、子供たちと議論してほしい」と話している。