政府は、医療・介護を「病院完結型」から「地域完結型」へとシフトさせていく方針だ。現在8割近い人は病院で亡くなるが、高齢者が激増すれば病院のベッド数が追いつかなくなる。だからといって、簡単にベッド数を増やすわけにもいかないからだ。
要するに、治る見込みがなくなったら、自宅で静かに“その時”を迎えてもらいたいということである。だが、大都市が置かれた実情を考えると、とりわけ1人暮らしの場合は、追い立てられるように退院しても、自宅での闘病生活は回っていかない。
政府は、特別養護老人ホーム(特養)の入所要件も「要介護3」以上の中重度者に限定しようとしている。認知症が増えることも考えると、かなり手厚い訪問サービスがなければ無理である。
現実的でない「在宅」
家族がいても、働いていたり、高齢夫婦のみで世話をする人がいなければ1人暮らしと大差はない。「施設から在宅へ」という政策転換は、理屈では正しいが、現実が追いついていないのである。
厚労省は対応策として、団塊世代が75歳以上となる2025年をめどに、自宅をベースとして、医療機関や介護サービス、生活支援や介護予防事業などが一体的に提供される「地域包括ケアシステム」を構築する考えだ。